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いざという時に!「会社のお金」にまつわるお話(第27話)《制度を活用した資金調達》

2019.11.28
いざという時に!「会社のお金」にまつわる話

(第27話)

300社以上の経営支援をしてきた経営改善の専門家が、実例を基に会社に起こり得る様々な金融面の問題にスポットを当て、解決までのストーリーをご紹介します。

 

《制度を活用した資金調達》

 

【経営改善計画策定支援事業とは】

経営改善計画策定支援事業とは、中小企業が税理士や中小企業診断士などの専門家(※認定支援機関として認定されている専門家に限る)とともに経営改善計画を策定し、金融機関からその計画の妥当性が認められ、金融支援(借入の条件変更、借換、借入金の一本化、リスケジュール、新規融資など)を受けることができた場合、専門家に支払う費用の2/3(最大200万円まで)を国が補助するものです。支援事業の受付窓口として、全国に経営改善支援センターを設置しています。

※認定支援機関とは、「中小企業経営力強化支援法に基づき認定された経営革新等支援機関」の通称であり、中小企業が経営の相談先として、専門的知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定した支援機関です。

(出典:中小企業庁ホームページより)

 

 

【利用対象者】

支援事業の利用対象者は以下の4つの条件をすべて満たす企業になります。

  1. 借入金返済で資金繰りが厳しいなど、財務上の問題があること。
  2. 自力で経営改善計画を策定するのは難しい企業であり、専門家(認定支援機関に限る)の支援を受けること。
  3. 金融機関の協力が得られ、金融支援を受けることが支援事業の利用申請時には見込まれており、その後実際に金融支援を受けたこと。
  4. 原則として中小企業・小規模事業者であること。

 

【メリット】

本制度を利用すると、以下のようなメリットが期待できます。

  • 資金繰りの改善
  • 業況の改善(売上増加、コスト削減など)
  • 金融支援をスムーズに受けられる
  • 金融機関、取引先からの信頼性が確保される
  • 従業員のモチベーションや生産性が向上する
  • 専門家から経営改善等の助言を受けられる(計画策定時やモニタリング期間中)

 

【経営改善計画書策定支援事例】

ここからは弊社が支援しましたA社様の事例をもとに経営改善計画書策定の具体的な内容についてご説明致します。

〇ご相談企業の概要・経営状況

業  種:飲食業

年  商:5,000万円

負債状況:借入総額(約5,000万円)の返済についてリスケジュール中

 

〇課題

飲食店を展開するA社は、豊富なメニューとボリュームのある料理で、主婦や近隣学生の支持を集める人気店で、業績の拡大に合わせて多店舗展開に取り組みました。3店舗を運営するところまでに成長した際に、新規店舗で不採算が続き、閉店に追い込まれ、新規出店時の借入金返済が大きな負担になりました。更に、仕入れコストの上昇や人件費高騰によって収益性が急激に低下、赤字を計上することになり、事業継続が困難な状況にまで陥りました。

こうした状況の中で、A社様より認定支援機関である弊社に相談いただき、経営改善計画策定支援事業を利用するご提案をさせていただきました。

 

〇取組み内容

1.資金繰りの安定と正常化を実現

先ず、経営改善計画策定を支援することにしました。これにより、金融機関に対し事業の将来性や抜本的な経営改善への取組みが評価され、その結果、リスケジュール中であった約5,000万円の借入金についても、取引金融機関から返済長期化を認めていただくことができました。毎月の返済額が軽減し資金繰りが安定しただけでなく、返済の正常化を実現できました。

 

2.集客力アップのための資金調達に成功

次は収益力強化のために新たな資金調達に取り組みました。A社が収益性を改善するには、「集客力アップ」が急務で、老朽化した店舗リニューアルがどうしても必要でした。そこで、経営改善計画書に設備投資計画を盛込み、取引金融機関からの新たな資金調達を実現することができました。店舗リニューアルをきっかけに、効率的なオペレーションを実現すべく、レイアウトやサービス内容も併せて見直すことで、改善が一気に進みました。

 

3.店長のモチベーション向上と共に数値への意識向上

なお、経営改善計画策定には、経営者だけでなく店長も参画していただきました。議論を重ねる過程でこれまで店舗別の収支管理が曖昧であったことが、収益性低下・赤字計上の要因の一つであることが判明しました。そこで、「平日」と「土・日・祝」での収支管理をご提案させていただきました。曜日別で収支計画を管理することで、店長が自ら計画数値を達成するための具体的なアクションプランを提案いただけるようになるなど、店長のモチベーションや数値達成への意識を上げることに成功しました。

 

【まとめ】

今回ご紹介した経営改善計画策定支援制度は、資金調達に関するお悩みを解決するだけでなく、中小企業が持続的に成長するための経営戦略や事業計画・資金計画を策定することができます。また専門家からの経営改善に向けたサポートを受けられるのでとても安心です。ご紹介した制度の詳細については、中小企業庁のホームページをご確認ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/kaizen/index.htm

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