備えておきたい経営課題の対処法

2021.04.30
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(第43話)

企業の伸びしろはその時の経営課題にある、と言っても過言ではありません。当コラムでは、企業が抱えがちな経営課題にスポットを当て、その対処法についてわかりやすくお話しいたします。

進むべき方向を見失わない“経営戦略”

新型コロナウイルス感染症が世界的に流行して1年が経過しました。

VUCA(ブーカ)*の時代と言われて久しいですが、2020年は真にVUCAを痛感した年だったのではないでしょうか。

 
新型コロナウイルス感染症の流行は、企業経営にとって大きな制約条件となり、事業活動が思うようにとれなくなり、事業が大きく停滞したことで、事業を縮小、休止、撤退したり、従業員の解雇や経営不安で人材が流出するなどの事例が多くあります。

しかし一方で、好調な業績を上げている企業・業界があるのも事実です。大打撃を受けた業界でも全てのお店(企業)が乗り切れていないわけではありません。

こうした違いはどこにあるのでしょうか?
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現在は、消費者が新型コロナウイルス感染症流行の時代において、本当に必要とするものと不要なものを明確に線引きした結果であるといえます。言い換えれば、「これまでの事業活動が、顧客のニーズを満たす商品・サービスの提供であったかどうかを、顧客が評価した結果」であるということです。
 
<売上と費用と損益の関係>

 
敢えて、皆さんにお聞きします。

業績が厳しいのは、本当に新型コロナウイルス感染症が流行したからでしょうか?

その兆候はそれ以前から出てはいなかったでしょうか?

とはいえ、これまでのことを嘆いていても始まりません。私たちは過去を変えることはできないのですから。また、誰かが有効な手立てを打ってくれるのを待つのも、それだけの時間的な猶予があるとも思えません。では、このような不透明で不確実性の高い時代に、どうすればよいのでしょうか?
 
VUCAへの対応方法として、OODA(ウーダ)ループ**というものがあります。

 
観察、情勢、適応、意思決定、行動というキーワードを大辞林で調べてみると次の通りです。
 

 
組織の行動には慣性が働きます。そのため、変化した情勢に対し、自らの行動を変えることを頑なに拒み、従来通りの行動に執着するため、成果があがらなくなります。成功体験が多い組織ほど、そうした傾向が強くなります。
 
現在、私たちは過去経験したことのない状況にあります。日本国内では、人口が減少し、少子化と高齢化が急速に進展しています。こうした状況を冷静に受け止め、従来とは異なる経営環境の中で、今後どのような道筋で事業を継続させていくべきか、を考えなければならない岐路にあります。その中で、新型コロナウイルス感染症の流行により、全ての要因を新型コロナに押し付けていては事業の継続は危ういことは推して知るところです。

OODAループは、私たちが今なにをすべきかを明確にしてくれています。
ここに、企業経営、事業運営という視点から「経営理念・経営ビジョンの実現に向けた」という制約条件が加わります。その上で、「情勢への適応」を考えるということは、経営戦略に他なりません。
 
経営環境が比較的安定している時代は、ビジネスモデルやドメイン(事業領域)の再定義は見直す必要性はありませんでした。そのため、経営戦略も大きな見直しを図る機会は少なかったと思います。

一方で、現在のような不透明かつ不確実性の高い経営環境にある場合、そもそものビジネスモデルやドメイン(事業領域)の再点検を行い、必要に応じて再定義していく必要があります。その上で、企業としてどのように経営理念を実現していくのかを示したものが経営戦略です。これらを全社に浸透させることで、組織全体としての進むべき方向性を確認できるようになります。

しっかりと現状を認識し、将来を見据え、目指す方向性を示していくことが、企業経営にとって、今最も重要なことだと考えます。

それを確認するため、15の質問をご用意しました。15の質問に対し、経営者だけでなく、経営幹部、職制、スタッフが同じ回答ができれば、後は実行するのみです。是非、口頭ではなく、各々が文字に起こし、皆ですり合わせを図り、会社としての答えを作り上げてみてください。それができれば、あとは実践するのみです。
 

 
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」という言葉があります。この含蓄のある言葉の通り、「変化に適応できるか」が、経営者に問われていると考えます。

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