経営数値の管理について

2021.05.24

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業が厳しい経営状況となっています。

そのような環境でも企業活動は継続し、成長を続けなければなりません。

そこで今回から全6回で、「成長する企業と衰退する企業の経営」についてお伝えしていきます。
 
両者の経営の特徴6点「1.経営数値の管理 2.ミッション追求 3.アクションプランの実行力 4.人財育成のスピード 5.クリエイティブ発想 6.楽しむこと」について、具体的な事象も交えながら赤裸々にお伝えします。

今回は、「1.経営数値の管理」についてお伝えします。

1.経営数値の管理

経営(=社長)の成果は数字で評価されます。
しかし、衰退する企業の特長として、(1)社長が数字に強くない、(2)利益管理ができていない、(3)数字がわかるのが遅い、ことが挙げられます。

(1)社長が数字に強くない

まずは1点目。衰退する企業は「社長が数字に弱い」ことがほとんどです。
 
数字は経営結果を正確に示す数値であり、誰にとっても同じ意味になります。社長が見ても従業員が見ても「ゼロ」は「ゼロ」ですし、「イチ」は「イチ」。これほど正確に事実を表すものはありません。まずは社長自身が数字に強くなり、数字を社内の共通言語とすることで問題認識を共有できるスピードが向上します。
 
また業務指示においても、数字で伝えないと正確に指示を出すことができません。「きっちりチェックして」ではなく「2回チェックして」という風に、具体的な数字を入れることで指示が正確になりますし、次に不具合が起こったときにも改善が進めやすくなります。

(2)利益管理ができていない

2点目ですが、売上は管理できていても利益管理ができていない企業は、収益力が高くないことが多いです。
 
売上も大切な指標ですが、それ以上に利益が大切です。そのことは社長もわかっているのですが、部門別や製品別で利益管理ができていない企業は多くあります。部門別の利益が把握できないと、改善すべき箇所が明確にできず、打つ手を検討できません。成長している企業は綿密に収益管理を行い、常に次の打つ手を考え、即行動しています。

(3)数字がわかるのが遅い

最後に、数字がわかるのが遅いという点ですが、これは衰退する企業の大半に当てはまります。
 
例えば試算表の作成ですが、毎月作成せず銀行などに求められたときにしか作成していない会社があります。その会社が、社内で別の数値管理(管理会計等)していない場合、一体どのような情報で経営実態を把握しているのでしょうか?当然そういった企業は経営をコントロールできず、収益性は低下します。また、月次の試算表は作成しているが2カ月遅れで作成している会社もあります。結果をみている時点で2カ月は経過しているわけで、その2カ月は何ら改善が進んでいないことになります。「正確な数字を出すのには時間がかかる」とよく聞きますが、そこまで正確な数字ではなく粗い数字でも、より早い時点で把握することが大切です。把握することにより次の一手を素早く講じることができるからです。
 
私はクライアント先で、数字で話するようにしています。「それは全体の何パーセントですか?」「何回訪問しましたか?」「利益額、利益率はどれくらいですか?」と聞くことで、社長に数字を把握しようとしてもらえるからです。社長が数字に強くなり、数字で語りかけることで、数字を共通言語とできる企業文化が生まれます。成長する企業を目指す皆様には、ぜひ数字に強くなっていただきたいと考えます。

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