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コンサルタントからみた「事業承継の3つの視点」

2019.12.09
番頭ブレーン

今回は、コンサルタントからみた「事業承継」について、本当に必要なコトは何かを考えていきたいと思います。

次期経営者に「承継」すべきものは大きく分けると3つあります。

 

  1. 株式・資金などの「資産」
  2. 経営権・後継者教育などの「人(経営)」
  3. 経営理念・ノウハウ・取引先との関係などの「知的資産」

 

中でも3.「知的資産」は会社の永続の視点から考えると、最も大切な要素を含んでいると言えます。

しかしながら1.「資産」のように見えるものでは無い為、引継ぎは容易ではありません。

 

ここでは知的資産である「経営理念」について、「伝える」「展開する」「実現する」の3つの視点でお伝えいたします。

 

1)経営理念を「伝える」

経営者は、会社が窮地に陥った際、局面ごとに何かしらの判断を行っています。

その判断を行うためには、何かしらの判断基準が必要となってきます。その判断基準こそが「理念」に当たる部分です。

「理念」は頭の中に思い描いているだけでは伝わりません。いかに、見える化し、後継者に間違えなく伝えていくことができるかが重要となります。

例えば、経営理念が「従業員を守るもの、地域に貢献するもの」と定めていたとします。経営者にとって、その判断は「従業員を守るであったのか?」「地域に貢献するものであったのか?」などと照らし合わせ、判断していきます。

経営理念を定める際、弊社から提案しているツールとして「会社史」「判断史」の作成をお勧めしています。

会社史とは、会社の歴史を時系列ごとに記載したものです。そして、判断史とは、時系列ごとに起こった出来事の中で、特に窮地に陥った事や成長しようと決意した事など特筆すべき出来事の際、どう判断したのかを記載したものです。過去から現在に至るまで、会社とは判断を積み重ねることで今に至ります。その局所ごとで判断した共通の根底にあるものが、経営理念に当たるものなのです。

 

2)経営理念を「展開する」

経営理念を従業員に展開していくために、弊社でお勧めしているツールは、「事業計画書」の作成です。

口頭だけでは、風化していくかもしれません。また、時代とともに意味が変わっていく可能性もあります。そのようなことを防ぐためにも、形にする必要があります。

事業計画は、理念を実現するために、現状を把握し、何を目標とし、どんな手段を取るかを明確に示したもので、理念を実現するための道しるべ的な役割を果たします。

実際に作成する際は、ビジネスモデル図やSWOT分析、クロスSWOT分析など様々な切り口で見ていく必要があり、専門家の意見などを参考にするのも良いでしょう。

 

3)経営理念を「実現する」

PDCAのP(計画)の作成後、D(実行)C(評価)A(改善)が確実に回せる、組織体制やルール作りが経営理念を「実現する」には必要です。

会社を回すには、経営者1人だけが努力しても難しいです。従業員1人1人の協力が必要です。つまり、組織力が必要になってきます。

例えば、プロジェクトメンバーを作成し、経営ビジョン(会社がありたい姿)の見直しなどを行うことも当事者意識を醸成させる上で、良い方法です。

経営ビジョンとは、経営理念にぶら下がる1つ下のレイヤーにあたるもので、3年後、5年後、10年後にこうありたいという姿を従業員から募ることで明文化していきます。

従業員を巻き込み、従業員が当事者意識をもって計画に取り組むことで、効果的にPDCAサイクルを回すことができるのです。

 

事業承継は最低でも3年~5年はかかります。ぜひ3つの視点(経営理念を「伝える」「展開する」「実現する」)を参考に、早いうちから取り組んでみてください。

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